病院ブログ

2019.01.12更新

尿石症(尿路結石症)は、尿に含まれるリン、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル成分が結晶化し、腎臓、膀胱、尿道などの泌尿器で結石となり、さまざまな症状を引き起こす病気です。

結晶成分により、「ストラバイト結石」「シュウ酸カルシウム結石」「シスチン結石」「尿酸塩結石」などに分類されます。

また、結石が存在する部位によって、「腎結石」「膀胱結石」「尿道結石」などと分類されることもあります。

 

症状は、頻尿、血尿、発熱、食欲不振、排尿痛などがみられます。

まれに、結石が尿道につまってしまい、尿道閉塞を起こすこともあります。

尿道閉塞を起こすと、血液中の老廃物が排出されずに急性腎不全を起こし尿毒症になったり、膀胱破裂を起こしたりして生命に危険が及ぶ状況が生じる可能性があります。

 

 この症例はミニチュア・シュナウザーの女の子で、頻尿を主訴に来院しました。

結石1

膀胱の中に鶏卵大の結石があるのが分かります。

 

 

尿検査において、ストラバイト結晶が認められたため、結石の種類もストラバイトと考えられます。

通常、ストラバイト結石は食事療法などの内科治療で溶解しますが、この症例では大きさなども考慮し摘出することになりました。

 

結石2

膀胱を切開し、結石を摘出します。

摘出後、膀胱や尿道を洗浄し、細かな結石が残っていないかを確認し、その後縫合します。

 

 

 

結石3

摘出した結石です。

 

摘出後は結石の分析を行い、予防へとつなげます。

 

 

尿路結石は結石の種類や場所などによって治療法や予防法は様々です。

また、治療後も定期的な検査によって、再発の有無を確認しなければなりません。

 

尿路結石症は再発率も高いため、食事や飲水量などには気を付けながら経過観察が必要です。

特に冬場は飲水量が減りがちで、泌尿器系の病気が増えるシーズンですので、意識的に飲水量を確保するように心がけましょう。

 

院長

 

 

投稿者: 葉山一色ペットクリニック

2019.01.11更新

潜在精巣とは、精巣が陰嚢内に下降せずに腹腔内や皮下に留まってしまう状態をいいます。

精巣下降は生後30日頃より始まり遅いと60日以上を要することもあります。

一般的には、生後4~5か月を過ぎても陰嚢内に精巣が触知できない場合は潜在精巣を疑うことが出来ます。

 

潜在精巣の発生は猫では珍しく、犬では2%程度の確率で認められます。

 

高齢犬の潜在精巣では、腫瘍の発生率が10%以上と言われており、貧血や転移を起こすものもあります。

また、腹腔内の潜在精巣では精巣捻転を起こすことも多く、急性腹痛や全身状態の急激な悪化をおこす危険性があります。

 

治療は開腹を行い精巣を摘出しますが、腫瘍が疑われる場合はリンパ節などに転移していないかの確認も必要になってきます。

 

この症例は大型犬で両側性の腹腔内潜在精巣の子ですが、突然元気がなくなり来院しました。

レントゲンや超音波検査を行うとお腹の中に巨大な腫瘤が認められたため、精巣腫瘍を疑い手術を行いました。

精巣1

精巣2

 

お腹を開けてみると精巣の捻転が認められ、精巣の顕著な腫れが起こっていました。

 

出血しない様に糸で血管を縛り摘出します。

 

摘出後の精巣

精巣3

上側が捻転を起こしていた精巣、下側が反対側の精巣です。

 

摘出後は病理検査を行い、必要に応じて術後に抗がん剤や経過観察を行っていきます。

 

潜在精巣はこのようなリスクがあるため、症状が出る前の早めの手術をオススメします。

 

院長

投稿者: 葉山一色ペットクリニック

2019.01.10更新

脾臓はお腹の左上あたりにある臓器で、免疫機能や造血機能、古くなった血液の破壊や赤血球の貯蔵などの機能を司どっています。

ほとんどの機能はほかの臓器が代わりに行えるため、摘出しても大きな問題になることはありません。

 

そんな脾臓ですが、腫瘤が出来ることが多い臓器でもあります。

一般的には犬の脾臓の腫瘤は50%が悪性腫瘍であり、そのうちのさらに50%が血管肉腫であると言われています。

 

ここでは血管肉腫についてお話しします。

 

血管肉腫とは血管を構成する血管内皮に由来する腫瘍であり全身に発生します。

一般的には脾臓の血管肉腫がよく知られていますが、脾臓以外にも皮膚・皮下・肝臓・骨・心臓・筋肉などでも発生が認められます。

場所によって症状は様々ですが、脾臓の血管肉腫で最も多い症状は腹腔内出血(貧血)です。

出血の量によっては命にかかわることもある為、早急な治療が必要となってきます。

 

診断は、画像検査をメインに行っていきます。

血管肉腫

レントゲン検査にて脾臓領域に腫瘤が認められます。

 

血管肉腫2

次に、超音波検査にてどの臓器に腫瘤があるかをチェックします。

また、ほかの臓器との関連や転移の有無なども同時にチェックします。

 

血管肉腫では貧血やDICなどが起きていることが多いため、血液検査も必須になります。

 

各種検査により脾臓の腫瘍が疑われた場合は、治療もかねて開腹を行い、脾臓の摘出を行います。

術前に貧血が認められる場合は、輸血をしつつ手術が必要になる場合があります。

一般的にはHCTが25%以下である場合は輸血を行うことになります。

 

 

血管肉腫①

血管肉腫3

 

血管肉腫②

血管肉腫4

かなり巨大化しています。

 

血管肉腫は残念ながら悪性度が高く、手術や抗がん剤を組み合わせても完治が難しい腫瘍です。

進行するまで症状が出ないため、定期的な健康診断を行い早期発見を心がけましょう。

 

院長

投稿者: 葉山一色ペットクリニック

2019.01.09更新

お外に出る猫ちゃんはどうしてもケンカをして帰ってくることがあると思います。

この子も残念ながらケンカをして、右目に穴が開いてしまった子です。

 眼球摘出

 

時間が経過していたため、眼球を温存するのは困難だと判断し、眼球摘出を実施しました。

 

摘出後の様子①

眼球摘出2

 

 

摘出後の様子②

眼球摘出3

毛が伸びてくると手術した部分は徐々に目立たなくなっていきます。

 

 

このような外傷以外のケースでも、緑内障や眼球の腫瘍が疑われるようなケースでも摘出することがあります。

 

眼球摘出と聞くとどうしても及び腰になってしまう方も多いと思いますが、状況によっては不快な状態から解放されるため、時には一つの選択肢になると思います。

 

院長 奈須俊介

 

投稿者: 葉山一色ペットクリニック

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