病院ブログ

2020.01.28更新

冬場は膀胱炎などの泌尿器系の病気のリスクが高くなる時期と言われています。

なぜだかご存知でしょうか?

 

いくつか理由は有りますが、寒いと運動量が低下しそれに伴って飲水量も低下し尿が濃くなることにより結石症のリスクが高まる事や、排尿を我慢することによって結果として尿が濃くなること等が原因として挙げられています。

 

先日参加した腎臓病のセミナーでは、大学病院に来院した腎臓病の子のうちの約40%が尿石症などの泌尿器系の疾患を起こしたことがある子だと言っていました。

泌尿器系の病気の予防することは将来的な腎臓病の予防にもつながるため、定期的な尿検査などの健康診断を行うように心がけましょう。

 

 

先日膀胱結石の手術を行った子のレントゲン写真です

結石

この子は頻回尿、食欲不振、嘔吐、発熱などの症状も出ていました。

レントゲンで確認すると膀胱の中に大きな結石が2つあることが確認できます。

 

つづいてエコー写真です

結石

黒くうつっているのがオシッコで、白く三角形にうつっているのが膀胱の中にある結石です。

エコーでは残念ながらいくつ石があるかは分かりませんが、レントゲンでうつらない結石もあるためエコー検査は必須です。

 

結石にはいくつも種類がありますが、出来やすい結石は「ストルバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」の二つです。

「ストルバイト結石」は食事療法により溶解することができる結石なのですが、大きさや数や本人の状態により手術を選択する場合もあります。

「シュウ酸カルシウム結石」は残念ながら食事療法では溶解することが出来ないため、手術が適応になります。

 

この子は尿検査などから「ストルバイト結石」が疑われましたが、強い症状が出ていたため手術を行うことになりました。

 

摘出した結石

結石

大きいもので1cm程度の結石がたくさん膀胱の中にあり、膀胱の粘膜に食い込んでなかなか取れないものもありました。

 摘出後は膀胱や尿道内を洗浄し、結石の取り残しがないかを確認して手術終了です。

 

膀胱結石の大変なところは、再発することが多いところです。

結石の出来やすい要因はいくつかありますが、体質や性別などの変えることが出来ないものも要因の一つになってきます。

 

そのため、食事療法や飲水量の確保などを行いつつ尿検査や画像検査を行っていくことが重要になります。

 

以前尿石症になった事がある子で、しばらく検査を行っていない子は定期的に検査を行うことをオススメします。

 

院長 奈須俊介 

投稿者: 葉山一色ペットクリニック

2020.01.28更新

胆嚢粘液膿腫は中高齢の犬に発生が多い病気の一つで、胆嚢内に粘液が充満することによって黄疸や胆嚢炎、胆道系の壊死などを引き起こす病気です。

 

現在のところ、明らかな原因は不明とされていますが、基礎疾患として甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症が関与していると報告されています。

高脂血症などもリスク要因の一つになります。

進行すると腹痛や嘔吐などの強い症状を伴いますが、初期は症状に乏しいため早期発見のためには画像検査が必要となってきます。

 

 

胆嚢内に粘液用物質が貯留している状態

gb

 

 

胆嚢粘液膿腫に対する治療は主に内科治療と外科治療に分かれますが、内科治療に関する有効性は不明な点が多いため、症状が認められれば外科的に胆嚢を摘出します。

gb2

奥に白く見えているのが胆嚢です。

 

黄疸や胆嚢破裂を伴っている場合、手術のリスクも格段に高くなります。

初期であれば内科療法により改善する例もあるため、中高齢以上のワンちゃんは定期的に画像検査を行うことをオススメします。

 

院長 奈須俊介

投稿者: 葉山一色ペットクリニック

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