病院ブログ

2021.03.10更新

突然意識を失い、手足をつっぱったり、バタバタさせたりすると真っ先に「てんかん」を疑うと思います。

 

てんかんとは、「種々の病因に起因する慢性の脳疾患であり、大脳神経細胞の過剰な発射に由来する反復性の発作を主徴とし、変化に富んだ臨床・検査所見の表出を伴う」とあります。

つまり2回以上発作が起きて初めて「てんかん」となります。

 

てんかんの分類は病因や発作の型で分類されます。

tenkan

 

「素因性てんかん」は、皆さんが想像するてんかんです。

脳やその他に明らかな異常を伴わない発作で、根本治療は出来ませんが、お薬を使って発作を起きにくくします。

素因性てんかんの中には難治性てんかんといってお薬に反応しにくいものもあります。

通常1種類のお薬から始めますが、発作が収まらなければ作用の異なるお薬を追加する場合もあります。

 

 

「構造的てんかん」は、脳やその他の部位に異常がありそれが原因で起こる発作をいいます。

一般的には、初回の発作が5歳以上で認められる場合は構造的てんかんが多いと言われています。

また、猫は年齢を問わず構造的てんかんが多いです。

構造的てんかんの原因は、脳炎・脳腫瘍・脳血管障害などの頭蓋内疾患の他に、内臓疾患や内分泌疾患・感染症などの頭蓋外疾患によるものも認められます。

 

頭蓋内疾患の有無はMRI検査などが必要となり、検査も簡単ではありません。

診療の際はまず身体検査・血液検査を実施し、頭蓋外に異常がないかを確認します。

異常が認められなければ、次のステップはMRI検査などを行い脳病変の有無をチェックしていきます。

 

ここ1年間ほどで5歳以上で初発の発作が起きた子を数例診る機会があり、どの子もMRI検査を行ったのですが、1件は脳腫瘍疑いでした。

ただし、5歳以下でも犬種によっては脳炎や脳障害が多い犬種もいるため、注意が必要です。

 

てんかんは基本的には生涯の治療が必要になる事が多く、お薬を切ることが出来る子はまれと言われています。

お薬を切る際も、6か月以上かけてゆっくりと量を減らしていきます。

しばらく落ち着いてるからと、飼い主さん判断でお薬をやめてしまったりすると症状の再発をすることがあるため自己判断でお薬を止めるのは避けるようにしましょう。

 

おうちで発作が起きた時は慌てずに、

① 状況の把握(できればムービー撮影)

② けがをしないように配慮(頭をがんがんぶつけたりしないよう)

③ なるべく動かさない

④ 時間を計測(どのぐらいの時間発作が起きているかが重要)

をこころがけましょう。

ふいに顔に手を近づけると、物凄い強い力で噛まれてしまう可能性もあるため気をつけましょう。

 

当院ではMRI検査が必要な際は提携病院へご紹介させていただきます。

 

何かあればご相談いただければと思います。

投稿者: 葉山一色ペットクリニック

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